〜Restaurant&Bar RETRO〜
千葉県流山市おおたかの森

レストランバー“レトロ”は近年、子育て世代に人気があるベッドタウン、流山市の中心、つくばエクスプレス沿線の主要駅、おおたかの森駅から徒歩3分のテナントビル最上階4階(144平米)に位置しています。

最寄駅はつくばエクスプレス、東武アーバンパークラインと2路線共快速、急行停車駅で利便性が高く、駅前を中心としてショッピングモールや音楽ホール、ホテルやオフィスビルが建ち並び、その背後に多くの集合住宅が控え、今もなお次々と開発が進んでいるニュータウンです。

隣駅には東京大学や千葉大学のキャンパスもあり週末は多くの学生グループも賑わい、これから飲食店街が成長していくエリアでもあります。
〜コンセプト〜

オーナーは様々な飲食店で経験を積み,同じ流山市内に既にイタリアンレストランで成功されている方です。

彼が1店舗目とは別の店名“レトロ”という名前で新しくお店を作るにあたり1番大事にしていた事は、そこに集う人々が懐かしさ、郷愁のような思いを馳せることができる落ち着いた空間作りでした。
また千葉県流山市は“都心から1番近い森のまち”というキャッチフレーズを掲げ、新しく作ったエリアにも流山グリーンチェーン戦略という街中を緑で繋ぐ施策があるほど緑を大切にしている土地柄です。

市のフラッグシップ的立ち位置の“おおたかの森”で新店舗を構えるにあたってオーナーから“夜の森”というテーマも頂きました。
当初、オーナーからの要望はレンガ作りの茶色や黒をベースとした、アイリッシュパブのような空間でした。

そこでまずはそのイメージをそのままこの場所に落とし込むことからデザインを始めました。

レトロ感を彷彿させるレンガ調の壁やアンティークの家具。

デザインを進めるうちに、果たして道も建物も全て出来立ての街の中にアンティーク調デザインの内装を施す事がお店のコンセプト、懐かしさを感じさせる空間には繋がらないのでは?と感じるようになりました。
ここがブルックリンやロンドンであればイメージ通りになり得ますが、新しい街にはそれがテーマパークやイベントの一過性の作り物のようなデザインとして捉えられてしまう懸念があります。

そこから、改めておおたかの森に相応しい“レトロ”をどのように表現するかを再考察し始めることにしました。
〜“レトロ”の主役〜

“レトロ”の平日ランチで、1番の利用者はおおたかの森に住む子育て世代の主婦層になります。

彼女達が日々の子育てや家事の忙しさの合間にふと落ち着いて食事を取れるオアシスのような空間を提供出来れば、徐々に友達や家族に広まり夜間の集客にも繋がると思いました。
そこで“懐かしさを感じられる、落ち着いた空間を作る”というコンセプトはそのままに、女性に好まれる清潔感、また新しい街に相応しいイメージとしてレンガ調から白を基調とした明るい店内にデザインをシフトしました。

また“夜の森”のテーマに合わせて、バーカウンター、ソファやチェアに様々な緑を配色する事で森のイメージを彷彿させ、観葉植物もふんだんに配置する計画としました。
〜“静と動”のエリア分け〜

“レトロ”の客席ゾーンはエントランスそばのバーカウンター前を動のエリアとし、コミュニケーションが図れる立ち飲み空間としました。

コンセプトの懐かしさを感じてもらえるお店になるためには、幾度も通ってもらう必要もあります。この新しく出来た街に移り住んだ新住民の多くは地元の友達や家族とは離れて暮らしていて、気軽にも飲みに誘える仲間も多くはありません。そこで“レトロ”に愛着を持ってもらえるよう店内でコミュニティの場を計画しました。
“レトロ”のためにデザインした特注のハイテーブルは、美味しいお酒や食事を介し様々な地域から新たに移り住んだ住人たちのコミュニケーションの場として機能するよう計画しています。

対照的に静のエリアは、食事を楽しむエリアです。

動のエリアで出会った仲間は勿論、家族との大切なひとときをゆっくりと過ごせるためにテーブル間にゆとりを持たせ、ソファサイズも大きなサイズにデザインしました。
〜2つの厨房〜

調理ゾーンは見せる厨房と隠す厨房を壁1枚で区分けました。

見せるための厨房は店内の1番奥まった落ち着きのある小上がりスペースにダイニンカウンターゾーンに設け、ゲストは調理をライブで見ながら食事を楽しむことができます。

隠す厨房は壁を1枚隔てたダイニングカウンターの真裏に設け、そこでは下処理や洗い物が行えるスペースとなっています。
〜様々な利用目的に対応した客席の可変性〜

“レトロ”では通常の複数のゲストにサービスを提供する他、各種寄合から結婚式の2次会まで、様々なイベントに対応するため、客席を様々な形で組み合わせられる計画にしています。
真ん中の2つのソファユニットを1つに繋げることで、最大11名の団体客にも対応しています。
テーブルゾーンに設置された4人席テーブルが4卓、三角形のテーブル1卓を組み合わせることで利用目的に合わせて6パターンのテーブル配置が可能です。
〜本物にこだわった空間づくり〜

“レトロ”で使用したタイルは本物の空間を演出するために全てイタリアから輸入しました。

ダイニングカウンターやバーカウンター壁面に使用した白いタイルは一つ一つ表情が違うタイルを使う事でハンドメイドからなる温かみや落ち着きを感じさせる風合いとなり、床全面に敷き詰めた美しい柄のタイルと提供される本格イタリア料理が相まって、あたかもここがイタリアにいると錯覚してしまう空気感を醸し出しています。

内装全体は落ち着いた雰囲気で仕上げ、お店の中心となるゲストにスポットが当たるように椅子はあえて煌びやかなベルベット生地のドイツ製商品を選びました。

今までハレの日に利用できるレストランが存在しなかった“おおたかの森”で唯一、東京まで行かなくとも近所でゆっくり食事を楽しみながら特別な時間を過ごせるような上質な空間を提供しています。

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